シャーマンキング完全版

シャーマンキング完全版
武井宏之 集英社
ネタバレ注意

1
この頃の武井先生の、シンプルかつコミカルで見やすい絵柄がすごく好き。今のシャープな感じも嫌いじゃないけど、修正分はどうしてもちょっと浮いちゃうなあ。潤さんがすごく美人になっているのは笑ってしまうw葉くんは最初、東京まで仲間を探しに来たはずだったんだね。結局阿弥陀丸しか持ち霊にできてないけどねwあと竜さん、初登場でタバコ吸ってることに驚き。お酒とタバコは20歳になってからって言ってたじゃない!収録分はアンナさん初登場までという小憎らしさ。お試しで1巻だけ買った人も、こうなると2巻に手を伸ばすしかなくなるね☆

2
アンナさん初登場のあたりは、急接近にどぎまぎしちゃう葉くんがかわいい。アンナさんの印象はとにかく強烈かつ鮮烈で、見るたびに彼女以上のヒロインには出会えないだろうなあと思う。大好きです。それにしてもvs潤&白竜ってこんなに長丁場だったっけ。蓮相手より苦戦してるじゃんよ;木刀の竜に向かっていくまん太はとっても男前。絵柄は修正済み潤姉さんがほんと美人で、武井先生の思い入れを感じるwボールボーイみてると「霊が見える奴に悪い奴はいない」っていう葉くんの言葉を思い出す。おばあちゃん思いのいい子やないの・・・!

3
竜さんメラ男前いい奴で惚れるしかない。男が惚れる男こそ本物の漢ですよね!慕われっぷりを見ても葉くんに引けを取らない懐の深さだと思うんだ。トカゲロウの幸運は葉くんに出会えたことだけじゃないよ(´;ω;`)アンナさんが語る葉くんの魅力、とらわれない心から生まれるゆとり、それゆえに自分を保っていられる強さというのは、見事な武井節。それは強さというよりも深さで、だから相手を打ち負かすんじゃなくて受け入れられるんだね。こういう内容をデフォルメがきいた絵とテンポのいい読み味でさらりと描いてしまうところ、さすがです。

4
冒頭のジェラシー女将と焦りつつまんざらでもなさそうな旦那、ごちそうさまです☆典型的主人公タイプのホロホロは流石に試合も正々堂々としていて好印象。ピリカは激怒してたけど、負けた相手の祝勝会に出られるのはむしろ美徳だよ。ファウストは後半味方についてからは心強いし味があって好きだけど、開きはやっぱりトラウマですヽ(;▽;)ノまん太哀れ。葉くんから見るとシルバは大人だけど、端々で割り切れない青臭さがあってすごくいい。シャーマンって霊を肯定してることが前提だから、曖昧さを受け入れる鷹揚な心はみんな持ってるのかも。

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ファウスト戦での敗北と出雲での修業、葉くん相当成長してるけど、注目すべきはやっぱり竜さんとまん太の二人旅。何度読んでもベストプレイス論にはため息が出ます。葉くんは懐が深いけど、竜さんは器がでかいって感じだな。麻倉夫婦がすでに出来上がってるのに対し、葉くんとまん太の友情は手探り状態の初々しさ。どうしても葉くん側からしか語られないけど、彼の側にいることを選んだまん太の決意はさりげに偉大だと思う。あんな目にあって怖くないはずがないもの。妻ありファンありのリア充ぶりも無欲なせいで嫌味にならないのは葉くんの人徳ね。

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1冊まるっと使って対蓮戦。葉くんを見守るシルバの視線は「答えを知っているのは知識、無から生み出すのが知恵」というところで参加資格テストの頃から一貫していて、経験を糧に実戦の中で成長していく葉くんの姿はまさにそれを地でいっている。「無理しないから無理じゃない」というのは言葉の綾のようだけど、無理しない=思い詰めない、だから広い視野を保ち、そのために打開策を得る、という意味では納得する。勝負がつく前に結果が見えていたという蓮の言葉には、北風と太陽の話を思い出して切なくなるけど、葉くんの太陽っぷりに救われる。

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Bo'Zキタ━(゚∀゚)━!竜さんもおかえりなさい☆あとはまるっと蓮救出編。蓮は葉くんに出会って変わったように見えるけど、迷いはずっと持っていて、葉くんには打開のきっかけをもらっただけじゃないかな。柔と剛で例えるなら蓮は剛で、葉くんや竜さんとは違う打ち破り切り開いていく強さ。曲がることをしないから負荷がかかると折れるけど、それが今回はいい成長ポイントになってる。信じ裏切られることも道すがらと断じる「我不迷」はシルバいわく「知恵」の結晶で、そういう意味では人間らしい親近感を覚える。蓮は強い子、かっこいいぞ!

8
本選旅立ち前夜の夫婦・・・まだ14歳なのに、背負うものの重さに言葉もないよ(´;ω;`)アンナさんに限らずたまおもまん太もどんな覚悟でと思う反面、その重石が葉くんにとってどれだけ有難いものか、ゼロで読んだ幼少エピソードに思いを馳せてしまう。ハオ様ようやく本格始動だけど、正体不明の不気味さよりも身元バレてからの方が圧倒的な感じがする。現時点ではまだ普通のラスボスだなあ。リゼルグは心身ともに幼いのに、頭脳と巫力だけ高くてアンバランス。そのせいでよく迷うから、のちのち竜さんの存在は大きくなるんだねえ。がんばれ!

9
対リゼ落着。感情に振り回される心の弱さって、マタムネの「大事なことは心で決めなさい」という言葉を思い出す(これはSK一の名言だと思う)。超・占事略決登場、これだけの力を持つアンナさんが旦那のアシスト止まり。わけも知ってるしそこがいいんだけど、ハオ様との直接対決も見てみたかったな。前鬼・後鬼のデザイン好きです。ホロホロ物語は「人間も自然の中の生き物」という台詞が印象的。破壊だの保護だの上から目線にならず、素で向かい合うホロはかっこいいけど、熊に酒飲ましたらいかんだろwあとはノーマルリーゼント竜さんおかえり!

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竜さんトカゲロウにベストプレイス発言&修行上等メラ男前!X-LOWS登場、天使まじカッケェです魂図鑑もあざっす!でも打倒ハオ以外念頭にない、相対的な理想しか持たない組織は危ういし、それに気付けないリゼも同類で悲しい。天使の強大さもかえって儚く思える。それからまん太・アンナさん他ようこそパッチ村へ!相変わらずユルい再会だけど、この時点でアンナさんがひとりで負う情報の重さを考えると、嫁様根性すわりすぎです。最重要事項はいつだって葉、それに比べればハオなんて幻の左で十分なんだね。最後にチョコラブもようこそ!

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チョコラブのターン。対土組戦の、巫力で体を操るペヨーテと笑いで相手の心を動かすチョコは見事な好対照。民俗学でも笑いは破邪に通じるというし、センスさえあればチョコの方法論は葉くんよりも平和的かも。芸人さん見てて思うけど、笑いを志す人ってどこか陰があるのは不思議なような納得しちゃうような・・・。SKでは幸福から絶望に突き落とされるパターンは多いけど、オロナの話はそこに救いと教訓があるぶん心に響く。赦される過去じゃないけど、チョコがそれを間違わずに受け取られて本当に良かった。「お前は黒いジャガーだ」にはただ涙。

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以前友人から「SKは後半で精神戦になってからつまらなくなった」って言われたことがあって、ばかやろうSKは始めから精神論の漫画でクソ面白いだろうがよ!って思ってたんだけど、対アイスメン戦はうっかり成仏しかねんレベルで面白いしかっこいいので、ここに書けることがありませんヽ(;▽;)ノ リゼはLAWSにいることに自信を持てない、そのせいで敵を殺す決断ができないという甘さをモルフィンに見透かされてただけ。ジャンヌ様の言うような、敵への同情なんていう安易な優しさを覚えたわけじゃない。でも、だからこそやり直せるのね。

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葉くんの双子宣言で物語の核心に。主体をハオに持たせた言い回しをするのが特徴で、実際に力量の差は圧倒的。その差を目前にしてなお「ここから」と見定める不屈さと、都合のいい奇跡ではなく、勝敗によらない第三の道を模索していくところがSKらしい。物理的な勝敗という二元論ではない、精神戦だからこそ持てる選択肢の幅だよね。ここから葉くんはどんどん感情の殻を脱いで達観度合いが増していくけど、物語の収束に至る決心はこの時点で持っていたんじゃないかと思う。そもそも葉くん自身が、善悪や勝敗に偏らない考え方の持ち主だもの。

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場外乱闘の巻。蓮の蘇生と引き換えに葉くんはSFを棄権・・・「すまん アンナ」。そもそも生き返りネタが苦手なんだけど、それ以上に承服しかねる展開。面白くないんじゃなくて、憤ろしさに胸が詰まる。強いて言えば、私の気持ちはホロホロとまん太が代弁してくれてる感じかな。何度読んでも読み応えはあるんだけど、これを面白いとは言いたくない、複雑な心境。こんなことになるなんて、ちっとも思ってなかったのにな。。。それでも他のことにはどうにか納得するけど、ジャンヌのやり口だけは赦しがたい。ほんとおまえ何様なんだよ。やりきれん。

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恐山ル・ヴォワール前編。「大切なものは心だ」・・・心なんて単語、意味を考える前に耳タコだったけど、マタムネに改めて教えてもらった気がする。心と感情は別ものだし、意思とも違う。葉くんは満たされない空っぽの器で、アンナさんは降り積もった業に身動きが取れない。ふたりとも過不足が極端で不安定、そんな自分を持て余している。補い合ってバランスを取るためには、お互いが必要だったんだろうな、切実に。この縁談はハオに対する切り札である葉くんを育てるためだけじゃなく、アンナさん自身のためでもあったんだろうなあ。

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恐山ル・ヴォワール後編。誰もが救われたのに、悲しいわけではないのに、どうしようもなく泣けてしまう。

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蓮の蘇生完了、ホロの一人いくさ、ガンダーラ登場。相変わらず場外乱闘続行中で、その内容もちょっと小粒な印象。蓮の帰還はどこまでも蓮らしくていい。ただ「奴を行かせる道を選ぶ!」がクソかっこよかっただけに、キッシュで混ぜっ返されたのが少し残念。ああいうノリ、普段は大好きなんだけど(´・ω・`)ホロは漫画的にというかキャラ的にというか安定感があって、あんまりコメント挟む気になれないや。サティさんお美しくなられて・・・(*´ω`*)おかえりなさい。多方面で局地的な展開を見せてるので、感想書きづらいなあ(;´Д`A

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ゴーレムのターン、テンション復活してまた面白くなってきた。ゴーレム相当えげつないけどデザインやっぱ好き。通常モードと空のモードが特に(・∀・)!葉くんがルドセブに言った「お前はまだ引き返せる」・・・生まれた時からすでに引き返せないものを負わされてる葉くんの身が悲しい。けれどハオとマタムネの話をするところ、このふたりに麻倉の宿命以外でわかちあえる温かなものがあって本当によかった。マタムネの存在は大きいなあ。ゼルエルを連れて話をしにきたリゼルグ、いい顔になりました。ひと皮むけた感じ。苦しいだろうけどがんばれ!

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チョコ帰還、ゴーレム収束、葉くん復帰。ミュンツァー博士が妄執から開放されたこと、もう一度親子の会話を持てたことを思うと、チョコの覚悟の重さを感じる。自分で自分を赦すことは難しいし苦しい、それがとりかえしのつかない罪だと自覚しているなら特に。それから逃げずに乗り越えて戻ってきたチョコだから、アバさんも力を貸してくれるんだろうな。それからオロナの言葉がいちいち響くのは私が歳をとったからなのか;人気投票では下位だったけど、ミック・オロナ・アバさん含め、私はチョコがすごく好き。芸人としては問題山積してるけどw

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対ラキスト戦、新生LAWS、本選the蓮×明王。リゼと葉くんのトリッキーな共同戦線、いつもと一味違って楽しい☆「戦いに勝つとは敵を倒すことではなく、それで笑っていられること」・・・一人で苦しかっただろうけど、リゼはようやく自分の復讐心に打ち克てたんだね。新生LAWSは一気に肩の力が抜けて居心地もよさそう。the蓮対明王、ホロとチョコのためにあえて攻撃を受ける蓮、初登場時からは考えられない変化だけど、それ以上にX-Ⅲを思い出す。明王はサティ様のチームだと思うと感慨深い。中庸ということ、武井節本領発揮です。

21 
明王戦終了、X-Ⅱ自爆テロ、星祭開始、葉くん地獄の修業。地獄行きは臨死体験とか仮死状態とかでもっと穏便にできないものか(;^ω^)シャーマンだからというのはあるけど、あまり度々見たいものじゃない。ハオ様は陰陽術を極めて自分の魂も自由にできるなら、転生をやめようとは考えなかったのかな。死後六百年の阿弥陀丸が精霊になってるのに、千年間も癒えない孤独を抱え、人間不信を深めながら転生を繰り返すなんて。特異な霊視能力を持ったために苦しんでるのに、強いシャーマンだけの世界を作ったところで、それを肯定できるのか・・・。

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五人の戦士in地獄、LAWS全滅、ハオ様vsアンナさん。魂図鑑のアバさん美少年でまいるわー!アンナさんの戦う姿はノーカットフルで見たかったです武井先生(´;Д;`)・・・でもきっと、これはあってはならないことだったんだろうなあ。なにしろラスボスと物語最大のキーパーソンの対決なので。アンナさんはハオのお母さんと関係があるのかな。余談ですが、花ちゃんの年齢を知ったあと葉賢さんと葉くんの会話を読むと、子の話で葉くんがあそこまで照れてた理由がわかってにやにやしちゃうね(*´∀`*)ハオ様残念でした☆

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田村崎の攪乱、双子の対話、the蓮×ふんばり温泉。田村崎は精神性を忘れた現代人の代表みたいで手に負えない恐ろしさがある。無人島にいるのは何だかんだ言ってみんなシャーマン、目に見えないものを肯定してる人たちだもの。兄弟の対話は、言葉が嘘発見器にしかならない相手に何を話しても・・・と思うけど、葉くんはハオに心を見せにきたんだろうな。千年たって出来た弟が、千年分の自分の力に追いつこうと必死で、その目的が打倒ではなく救済にあること、ハオはどう受け止めてるんだろう。心がわかってしまうなら、言葉による誤解もないはず。

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双子共同戦線、ムー大陸、マルコ×ラキスト。共通の敵を前にして対立する者同士が肩を並べるというのは胸熱、しかもそれが葉くんとハオ様!相手はまん太の父親だしハオのやり方を見れば軽率なことは言えないけど、それでもやっぱり双子が揃うのは嬉しい。エジプトの鼻兄弟もいいね。LAWS創始者達の因縁の対決、絵柄が進化して余計に鬼気迫ったラキストの本気モードが見応えあり。言い分はどちらにも頷けるしどちらにも同意できない。ただ二人とも自力で辿り着いた信念で、その為に命も賭けるのだから、手出しも口出しもできないよね。圧巻です。

25
十祭司戦はまるで弟子が師匠を乗り越えていくための儀式みたい。ハオがオパチョを残したのは、やっぱり自分のところまで来てほしい、わかってほしい、ということじゃないのかな。現時点での巫力値を見てると、修業の成果や死の体験が数値を上げることは確かでも、巫力=精神力というわけではないんだろうな、という気がする。葉くんや蓮の数値が納得しづらいというのはあるけど、善人も悪人もないという世界観と、大切なものは心だという核心には、数値という即物的なもので心や精神を測るなんてことは似合わない気がする。目安どまりだよね。

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ゴーレム乱入、ホロの過去、蓮×ニクロム因縁戦。みかんのトラウマを乗り越えて、真完結に向かう描き下ろしに突入。愛することはたやすく、受け止めることは難しい。それを言えてしまう葉くん自身も寂しい育ちをしたこと、アンナさんやハオを想わずに出る言葉ではないこと、考えると切ない。かつてマタムネの思いを受け止め、アンナさんに受け入れられた葉くんだから、ハオにも同じ心で向かい合えるんだろう。憎しみの連鎖を断ち切る方法は愛。ニクロムに向かい合った蓮はすでにそれを持っていたように見える。カリムやラジムの偉大さを思う。

27
神完結。欲しかった以上のものを受け止めました。ただひたすらハオを追い続けてきた葉くんたちの想い、それが届くきっかけを作ったのは、どこまでもハオと一緒にいようとしたオパチョの純粋な心。三度の生を経た千年目の魂でこのオパチョを側に置いたのは、ハオの心が人間への絶望に染まりきっていなかったことの証のように思える。にいちゃん、と呼びかける葉くんの表情には胸がいっぱいです。嬉しいような寂しいような・・・。最後の最後でまん太が活躍するのがとても嬉しい。あの出会いがなければ今の葉くんもこのエンディングもありえなかった。

マンタリテ
いい感じにグダグダ(*´ω`*)発売当時はまさか本当にフラワーズが雑誌連載されるとは思ってなかったので、今読み返すと感慨深いものがあるわあ。インタビュー読んで驚いたのは、無人島での経過時間がたったの一週間しかないという事実。それからアンナさんの正体、本編で葉くんが「アンナはアンナ」って言った時から特に疑問は持ってなかったので(どんな時でも自分を見失わない人ほど強いってことかと)、扱われ方に少し驚いた。私はそれよりも、葉くんとマタムネの再会が気になるよ。7年後でも媒介ちゃんと持ってるし時間の問題だろうけど。

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