10月に読んだ本

10月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:1878
ナイス数:550

ひねくれ一茶 (講談社文庫)ひねくれ一茶 (講談社文庫)感想
子どもや小鳥や虫。小さきものたちへ向けられた一茶の眼差しはあたたかく、尽きせぬ興味と愛着を感じる。亡父の遺産をめぐる継母や弟との確執は、好々爺然とした句の印象を裏切るように思っていたけれど、それは少し違うのかもしれない。自身の寂しい子ども時代も、一茶にとっては愛すべき小さきものだったのかもしれない。禍福が唸りをあげる晩婚の頃までは、そんなことを考えながら楽しく読んだ。けれども、「露の世は露の世ながらさりながら」。後半は隣で眠る幼い息子の体温にすがりながら、耐えるように読み進めた。
読了日:10月03日 著者:田辺 聖子

ぶたたぬききつねねこぶたたぬききつねねこ感想
【3歳12ヶ月】2歳のクリスマスにプレゼントしたうちの1冊だけど、これまで見向きもしなかった。それを持ち出してきたのは、他の本に飽きてきたからなのか。ともあれ、ひらがなに興味を持ち始めたこの頃にこそ、ぴったりの本かもしれない。ユーモラスな絵にひらがな表記の名詞、しりとりになっていることに気付けたのには驚き。♪こぶた、たぬき、きつね、ねこ、のうたを歌おうとするも、何度チャレンジしても♪ポンポコポンを言えず、♪ポンポポポンになるところが愛しい。あほうどり、こうのとり、しちめんちょう、の見分けがついたらいいな。
読了日:10月06日 著者:馬場 のぼる

ギケイキ:千年の流転ギケイキ:千年の流転感想
絶好調町田節につき、極度に口語を究めた現代語訳なのか著者による再話なのかは判りかねるが、読んでいて脱力するほど楽しいことは間違いない。そもそも本家本元の義経記自体が伝記ではなく伝奇なのだし、本書程度の振り幅を受け入れる土壌ははなから備わっていたのかも。義経を日本武尊に、頼朝を景行天皇に重ねてその悲劇の英雄ぶりを愛でてきた私には、このブッ飛んだ町田義経は、語り直しによる慰霊と鎮魂の賜物かと考えずにはいられないけれど、それはさておき物語は二巻へ。静御前の登場と佐藤兄弟の活躍が、楽しみなような怖いような。
読了日:10月08日 著者:町田 康

累(14) (イブニングKC)累(14) (イブニングKC)感想
完結おめでとうございます。読了した今、とても満足しています。美しき大女優の一人娘でありながら醜く生まれついた〈かさね〉、亡き母から託された口紅には不思議な力が宿っていた。その〈くちづけた相手と顔が入れ替わる〉という思い切った設定が、愛憎と執念の渦巻くドラマのリアリティから浮いて見えたものだけど、それもいつの話やら。作中で扱う古典演劇のどれよりも劇的な本編にかかれば、そして、理想のために罪を重ねた主人公のもとに収束していく過去を目の当たりにしてしまえば、それは些細なことでした。作者さま、お美事でした!
読了日:10月10日 著者:松浦 だるま

いもむし・ようちゅう図鑑 これはなんのようちゅうかな?いもむし・ようちゅう図鑑 これはなんのようちゅうかな?感想
【3歳12ヶ月】寝る前の絵本タイムに平気で図鑑を持ち込む息子に、学研の図鑑NEO「イモムシ・ケムシ」を買い与える勇気が出なかったので、図書館で借りてきた本書。お向かいさんの玄関先でパンジーを食い荒らし、枯れ葉のようなサナギ姿を見せてくれたのはツマグロヒョウモン。うちの玄関に現れ、紫陽花の葉でそっとお引越しさせたのはヒメジャノメ。サツキを丸裸にさせながら観察した愛称〈けむけむ〉はマイマイガ。十把一絡げに「虫、特にイモムシケムシが大嫌い!」だった私が、息子と一緒に何度も本書を見返した。ほどよい量感の本です。
読了日:10月13日 著者:岡島 秀治,植村 好延,福田 晴夫

はっけんずかん うみ (はじめてのしぜん絵本)はっけんずかん うみ (はじめてのしぜん絵本)感想
潜水艦といえば、の本。1歳のお誕生日に頂き、以来擦り切れるほどの息子お気に入り本。本書にも紹介されている深海潜水調査船「しんかい6500」、および支援母船「よこすか」の見学記念に今回登録。しんかいは私も以前Tシャツのデザインに描いたことがあるので、思い入れがあります。本書はボードブック並みの丈夫さで、角を丸く落としてあって幼い子どもにも扱いやすいもよう。ただしふんだんにある捲り窓は破損注意です。イラストはシンプルで見やすく、写真も掲載されているので見くらべても楽しい。
読了日:10月14日 著者:

ギケイキ2: 奈落への飛翔ギケイキ2: 奈落への飛翔感想
本作を映像化するならキャストは、またはキャラデザは誰を、と考えてみる。相変わらずキャラ立ち凄いわあ、と不細工ファンシーな弁慶に胸をざわめかせながらも、次巻で語られるであろう静御前や腹の子のその後などを考えるにつけ、このノリの軽さを有り難いと感じるのも本当。そうでなければ受け入れ難い展開が、今この活劇&会話劇を盛り上げている面々に降りかかるのかと思うと少し複雑。現代日本を生きる義経が振り返る生前のあれこれ。この構図の面白さに期待したいのは、現代感覚からのツッコミよりも、物語収束後に義経が向かう先である。
読了日:10月21日 著者:町田康

たぬきの花よめ道中 (えほんのぼうけん)たぬきの花よめ道中 (えほんのぼうけん)感想
画は町田尚子さん。人の都会は狸の田舎、都会から田舎のお婿さんの元へ、お嫁に行くお姉さん狸とその家族。人に化けたあとのレトロスタイルもお洒落でいいけど、ふはふは毛皮の狸姿の愛らしさは、表紙をみてわかる通り。頬の下あたりの豊かな毛深さを人で言うと、若い娘さんのさらさらロングストレートヘアくらいの、ときめきチャームポイントになるのではないかと思うんだ。若さと愛のパワーで僻地も僻地へ嫁いだ狸の新婦さん、これからたくましく美しいお母さんになって、子狸たちを〈都会の実家〉へ遊びにやれるといいな。
読了日:10月22日 著者:最上一平

森のきのこ (絵本図鑑シリーズ)森のきのこ (絵本図鑑シリーズ)感想
【4歳1ヵ月】雨上がりに近所の公園を散歩すると、大小さまざまなキノコに出会う。虫なり花なり、気になるものがあると「帰って図鑑を見てみようね」が合言葉の息子と、まずは図書館で手にしたのが本書。館員さんが示した本の表紙、その繊細で精確で、それ以上に何とも柔らかくあたたかなタッチの絵に一目惚れし、開いてみたページに胸が高鳴る。なんて愛らしい、妖精やリスやクマ!丁寧な解説を読むとたしかにこれは図鑑なのだけれど、それだけに終わらない本作りの楽しさ、キノコへの愛と遊び心に満ちています。
読了日:10月23日 著者:小林 路子

トトロの生まれたところトトロの生まれたところ感想
宮崎監督とスタジオジブリの持て囃され方にはずっと昔から違和感がある、けれどそれとは別のごくプライベートなところで、私はトトロやラピュタと一緒に育ってきた。手元に残るぬいぐるみで一番古いものは、姉がお小遣いで買ってくれたお誕生日プレゼントの小さなトトロ。ボソボソの毛並みのそれを、4歳になったばかりの息子が抱いて遊ぶ。けれどだからこそ、この手の本は、特に読まなくてもよかったんだろうなあ。1960年代の所沢よりも、もっと山深い1990年代の大分でしか、私のトトロには会えないんだから。美しい本なんだけどね。
読了日:10月26日 著者:

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