11月に読んだ本
11月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:1941
ナイス数:797
ココの詩 (福音館創作童話シリーズ)の感想
傑作と呼ばれる絵画が真筆でなければならない理由、どれだけの熱量が費やされた見分けのつかない力作でも、贋作ではいけない理由はどこにあるのか。小さなはだかんぼうの人形ココ、空っぽの心に積もり重なった記憶は彼女を少しずつ生身の少女に近づけていったけれど、抱えきれない恋が最後に招いたものとは。本物と贋作、人間と人形。ウエムを待つ試練は探偵のものではなく、そこに明確な答えやゴールはない。命を運ぶものを運命と呼ぶけれど、舟を操る手は自分のもの、その果てには善人も悪人もなくなり、塗り込められた歴史しかないとしても。
読了日:11月11日 著者:高楼 方子
時計坂の家の感想
なれし故郷を放たれて夢に楽土求めたり、と「流浪の民」を口ずさむとき、思い浮かぶのは古語に言うあくがれ。魂が身を離れるほど一心に何かを想い焦がれる、血の滲むようなジプシーの切実さを抱えたまま現実を生きることが出来るなら、確かにそれは一つの才能かもしれない。美少女マリカをみつめるフー子は悲しいほど我が身をわきまえている。それは私だけに限らず、読書というひそやかな愉しみを愛する者には親しみのある苦さだろう。そういう人間はすでに持っているのだ、自分だけの秘密の花園を。あとはただその入口が現実に現れるだけでいい。
読了日:11月19日 著者:高楼 方子
SHAMAN KING THE SUPER STAR(1)限定版 (プレミアムKC)の感想
限定版があるならと、内容も値段も確認せずに予約。ステッカーは対処に困って死蔵しそうだけれども、冊子は初見なので楽しかったよ!本作はもちろん、仏ゾーンといいデスゼロといい、自作を大切にしてくれる作家さんは嬉しくなる。肝心の本編はまだまだこれからだけど、思わせぶりな先代たち(神含む)よりも、ようやく慣れて愛着の湧いてきたメインの次世代たちが見ていて楽しい。けれどもぶっちゃけると、今巻はデスゼロにもってかれましたわ。。カッケェっす。アルミと花の再会を楽しみに次巻を待ちます。
読了日:11月21日 著者:武井 宏之
緑の模様画 (福音館創作童話シリーズ)の感想
色紙を折って鋏を入れる切り紙細工、その中心に刻まれた顔は「少公女」か塔の影法師か。三人の少女と茶色の瞳の青年が切り込みを入れたのち広げると、若草色の紙は光差すシャムロックの野原に変わる。薄暗い眠りの迷宮から陽光溢れる坂道へと「彼」を誘い出したのは、懐かしい日々に重なる三人の少女。彼女たちへの焦がれるような慈しみは、やがて失意を抱えて塔にこもる魂をのせる翼となる。海をのぞむ塔の窓辺から飛び立った彼らは、天へと向かう途中で寄り道をしただろう。二度とするつもりはなかったのだとはにかみながら。
読了日:11月23日 著者:高楼 方子
わたしたちの帽子の感想
出久根育さんの装画に惹かれて手に取ると、お話の中にも育ちゃんが!先日読んだ「チェコの十二ヶ月」の印象も相まって、もうこの育ちゃんが出久根さんご本人としか思えなくなる。五年生への進級を目前にした春休み、サキちゃんがひと月だけ暮らした、古いビルでの不思議なできごと。謎を謎のまま楽しみたい私としては、後半はやや手の内が明かされすぎた感があるというのが正直な感想。ただ、それでもまだ発見されていない何かがありそうだと思えてしまう、このビルの魅力!あの絵は初代オーナーの肖像かしら、なんて想像しはじめるとキリがない。
読了日:11月25日 著者:高楼 方子
ねこが見た話 (福音館創作童話シリーズ)の感想
懐かしいなあ、こんなところでまた逢えるなんて。「おおきなぽけっと」は発売されると毎号担任の先生が読み聞かせしてくれていた。小学三年生の頃だから、「キノコと三人家族のまき」が掲載されたのは1992年だっただろう。おかべりか「よいこへのみち」、いわむらかずお「かんがえるカエルくん」を楽しみに読んでいた中で、この奇妙なキノコ一家のお話のインパクトは強烈だった。タイトルと作者は忘れていても、お話の筋はきっちり覚えていたくらい。他三話は初読みで、どれも捻りが効いていて楽しかった。読み聞かせするにも程よい分量です。
読了日:11月27日 著者:たかどの ほうこ
SHAMAN KING レッドクリムゾン(1) (マガジンエッジKC)の感想
手を着けようか迷っていたけど、こちらで評価がよかったので購入。そうして驚いた、これは本当にクレジットを見なかったら武井作画だと錯覚するクォリティ。奇しくも先日、出来栄えが同じくらいの真筆と贋作の場合、真筆の価値って何かしらとこちらで云々したばかり。もちろん本作を贋作と呼ぶ訳では決してないけれど、これだけ描ける人があえて完全オリジナルをやらない理由って何だろう。肝心のお話は本編との絡みを待機しつつ、暗くなりかねない筋をホロホロがいい具合に混ぜっ返してくれてるのが嬉しい。この密度で駆け抜けてくれることを期待。
読了日:11月28日 著者:武井 宏之,ジェット 草村
ほしをさがしに (講談社の創作絵本)の感想
ネットで極小の書影を目にしてすぐに図書館で予約。手にした本書は開くと裏表紙まで使っての一枚絵で、それを眺めるだけで時間は過ぎてゆく。ページをめくると思い出す、子どものころ飼っていたハムのちいさなちいさな手の感触。その細っこい指の愛おしさと力強さ、宿る命のかけがえのなさ。身軽なはずのうさぎが重々しく蹲る様子、視点の低い接写のリアルと伝わるぬくもり。ああこれだけのものを描き出せるなら、あえての人くさい仕種はすでに無用です。お話もとても可愛らしく、絵の素晴らしさとの相乗効果で心の襞を撫でられまくる。なんてこと!
読了日:11月29日 著者:しもかわら ゆみ
読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:1941
ナイス数:797
ココの詩 (福音館創作童話シリーズ)の感想
傑作と呼ばれる絵画が真筆でなければならない理由、どれだけの熱量が費やされた見分けのつかない力作でも、贋作ではいけない理由はどこにあるのか。小さなはだかんぼうの人形ココ、空っぽの心に積もり重なった記憶は彼女を少しずつ生身の少女に近づけていったけれど、抱えきれない恋が最後に招いたものとは。本物と贋作、人間と人形。ウエムを待つ試練は探偵のものではなく、そこに明確な答えやゴールはない。命を運ぶものを運命と呼ぶけれど、舟を操る手は自分のもの、その果てには善人も悪人もなくなり、塗り込められた歴史しかないとしても。
読了日:11月11日 著者:高楼 方子
時計坂の家の感想
なれし故郷を放たれて夢に楽土求めたり、と「流浪の民」を口ずさむとき、思い浮かぶのは古語に言うあくがれ。魂が身を離れるほど一心に何かを想い焦がれる、血の滲むようなジプシーの切実さを抱えたまま現実を生きることが出来るなら、確かにそれは一つの才能かもしれない。美少女マリカをみつめるフー子は悲しいほど我が身をわきまえている。それは私だけに限らず、読書というひそやかな愉しみを愛する者には親しみのある苦さだろう。そういう人間はすでに持っているのだ、自分だけの秘密の花園を。あとはただその入口が現実に現れるだけでいい。
読了日:11月19日 著者:高楼 方子
SHAMAN KING THE SUPER STAR(1)限定版 (プレミアムKC)の感想
限定版があるならと、内容も値段も確認せずに予約。ステッカーは対処に困って死蔵しそうだけれども、冊子は初見なので楽しかったよ!本作はもちろん、仏ゾーンといいデスゼロといい、自作を大切にしてくれる作家さんは嬉しくなる。肝心の本編はまだまだこれからだけど、思わせぶりな先代たち(神含む)よりも、ようやく慣れて愛着の湧いてきたメインの次世代たちが見ていて楽しい。けれどもぶっちゃけると、今巻はデスゼロにもってかれましたわ。。カッケェっす。アルミと花の再会を楽しみに次巻を待ちます。
読了日:11月21日 著者:武井 宏之
緑の模様画 (福音館創作童話シリーズ)の感想
色紙を折って鋏を入れる切り紙細工、その中心に刻まれた顔は「少公女」か塔の影法師か。三人の少女と茶色の瞳の青年が切り込みを入れたのち広げると、若草色の紙は光差すシャムロックの野原に変わる。薄暗い眠りの迷宮から陽光溢れる坂道へと「彼」を誘い出したのは、懐かしい日々に重なる三人の少女。彼女たちへの焦がれるような慈しみは、やがて失意を抱えて塔にこもる魂をのせる翼となる。海をのぞむ塔の窓辺から飛び立った彼らは、天へと向かう途中で寄り道をしただろう。二度とするつもりはなかったのだとはにかみながら。
読了日:11月23日 著者:高楼 方子
わたしたちの帽子の感想
出久根育さんの装画に惹かれて手に取ると、お話の中にも育ちゃんが!先日読んだ「チェコの十二ヶ月」の印象も相まって、もうこの育ちゃんが出久根さんご本人としか思えなくなる。五年生への進級を目前にした春休み、サキちゃんがひと月だけ暮らした、古いビルでの不思議なできごと。謎を謎のまま楽しみたい私としては、後半はやや手の内が明かされすぎた感があるというのが正直な感想。ただ、それでもまだ発見されていない何かがありそうだと思えてしまう、このビルの魅力!あの絵は初代オーナーの肖像かしら、なんて想像しはじめるとキリがない。
読了日:11月25日 著者:高楼 方子
ねこが見た話 (福音館創作童話シリーズ)の感想
懐かしいなあ、こんなところでまた逢えるなんて。「おおきなぽけっと」は発売されると毎号担任の先生が読み聞かせしてくれていた。小学三年生の頃だから、「キノコと三人家族のまき」が掲載されたのは1992年だっただろう。おかべりか「よいこへのみち」、いわむらかずお「かんがえるカエルくん」を楽しみに読んでいた中で、この奇妙なキノコ一家のお話のインパクトは強烈だった。タイトルと作者は忘れていても、お話の筋はきっちり覚えていたくらい。他三話は初読みで、どれも捻りが効いていて楽しかった。読み聞かせするにも程よい分量です。
読了日:11月27日 著者:たかどの ほうこ
SHAMAN KING レッドクリムゾン(1) (マガジンエッジKC)の感想
手を着けようか迷っていたけど、こちらで評価がよかったので購入。そうして驚いた、これは本当にクレジットを見なかったら武井作画だと錯覚するクォリティ。奇しくも先日、出来栄えが同じくらいの真筆と贋作の場合、真筆の価値って何かしらとこちらで云々したばかり。もちろん本作を贋作と呼ぶ訳では決してないけれど、これだけ描ける人があえて完全オリジナルをやらない理由って何だろう。肝心のお話は本編との絡みを待機しつつ、暗くなりかねない筋をホロホロがいい具合に混ぜっ返してくれてるのが嬉しい。この密度で駆け抜けてくれることを期待。
読了日:11月28日 著者:武井 宏之,ジェット 草村
ほしをさがしに (講談社の創作絵本)の感想
ネットで極小の書影を目にしてすぐに図書館で予約。手にした本書は開くと裏表紙まで使っての一枚絵で、それを眺めるだけで時間は過ぎてゆく。ページをめくると思い出す、子どものころ飼っていたハムのちいさなちいさな手の感触。その細っこい指の愛おしさと力強さ、宿る命のかけがえのなさ。身軽なはずのうさぎが重々しく蹲る様子、視点の低い接写のリアルと伝わるぬくもり。ああこれだけのものを描き出せるなら、あえての人くさい仕種はすでに無用です。お話もとても可愛らしく、絵の素晴らしさとの相乗効果で心の襞を撫でられまくる。なんてこと!
読了日:11月29日 著者:しもかわら ゆみ
読書メーター
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