12月に読んだ本

12月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1842
ナイス数:503

東の海神(わだつみ)  西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)感想
戴国新刊発売を機に再読。十二国の中でも安定感抜群の雁、そのため却って人物には思い入れを持たずにきた。今回は意識して更夜視点で読んでみようと、けれども至らなかった。せめて彼にとっての斡由がどれほどのものか、腹に落とし込みたかったのだけど。冒頭では此岸と彼岸に等しく満ちた血のにおい、更夜には荒野の音が、六太には芥の音が低く重なる。緑の山野とはそれのみではなく、眺める者の心を含めて言うのだろう。五百年のち約束は成就されたのか。妖魔を迎える証文はそれより早かったようだけど、麒麟の願いが民意に具現化されますように。
読了日:12月02日 著者:小野 不由美
図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)感想
戴国新刊発売を機に再読。この珠晶と遠子(白鳥異伝)がとにかく大好きで、飽くことなく読み返した十代の頃を思い出す。あれから二十年経って久しぶりに項を開いたけれど、事細かに覚えている内容を辿りながらもやはり面白く読めることに改めて驚く。頑丘たちと別れてからの急展開に息をつめ、天仙の正体に万感の想いを新たに、そして何よりも珠晶の叫びに心を掴まれる。珠晶の目的は己を肯定することで、異世界を放浪した陽子が結果的に身につけた最強の武器もこれ、つまりは自分自身の王であるということ。背筋が伸びる思いで本を閉じた。
読了日:12月06日 著者:小野 不由美
丕緒の鳥 (ひしょのとり)  十二国記 5 (新潮文庫)丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)感想
戴国新刊発売を機に再読。下っ端官吏や荒民が主役のお仕事短編四つ。「青条の蘭」善意のリレーに小栗判官を想起、山毛欅林を救う青条に死から蘇った小栗が重なる。国境を前に踏み留まる故郷なき民、興慶が辛く切ない。いつか黄朱メインの長編を読んでみたい。「風信」戸外の嵐を忘れなければ癒えない傷はある。けれど最後の一行まで鮮血流れる傷口に向き合えなかった蓮花に、忘失は癒しよりも緊張を与えていたのか。その糸が切れたあとの日々、心から笑う蓮花の頭上には巣立ったばかりの燕が翔んでいるのだろう。漣王の言う仕事とお役目を思い出す。
読了日:12月13日 著者:小野 不由美
営繕かるかや怪異譚 その弐営繕かるかや怪異譚 その弐感想
人の営み、人でないものの営みを繕い、間を取り持つシリーズ第二弾。胸に残るのは「まつとしきかば」、猫の帰りを待つ男の子と、飼い主の帰りを待つ猫たち。死が阻み叶えられるはずのない二つの願いが、小さな猫用ドアを介して巡りあう。それははじめ怪異を呼び、繕われて後は新しい風を呼ぶ。同じようにして飼い猫を通わせた田舎の家を思い出し、航に歳の近い我が子を重ね、片親家庭を営む父親の優柔不断にやりきれない親しみを覚える。閉ざすためではなく迎え入れるためのドア、これをこそ営繕と言うのだろう。寂しい魂が潜るそれは鳥居のようだ。
読了日:12月15日 著者:小野 不由美
ねずみのモナと秘密のドア (ハートウッドホテル)ねずみのモナと秘密のドア (ハートウッドホテル)感想
姪がお小遣いで買った本を貸してくれたのは「かがみの孤城」「神隠しの教室」以来。表紙が可愛かったから、と笑う彼女は小6にして中々の食わせ者。けれどもどんなお話かと身構えるまでもなく、見たままの柔らかな物語を好む一面を、あの子もしっかり持っているのだった。嵐で家を失ったねずみのモナが行き着いたのは、森中の小さな動物たちが集まるホテルだった。大人目線では正直物足りない筋だったけれど、大木にランプを飾ったモナがそれを見上げ、自分を大きく感じるあの場面は好きだったな。ラストはお約束ながらも好印象、次巻も楽しみ。
読了日:12月20日 著者:ケイリー・ジョージ
ねずみのモナと最高のおくりもの (ハートウッドホテル)ねずみのモナと最高のおくりもの (ハートウッドホテル)感想
姪が借してくれた本。ホテルの面々に馴染みができてきたおかげで前作よりずっと楽しめた。その分みなしごモナの世事にうとい様子が切なくもあったけれど、メイドとして自信をつけていく様子は頼もしく、ティリーとの不器用な友情は微笑ましく、何よりオヤスミ聖人やオハヨウ聖人のお祭りの、楽しそうなことと言ったら!前作のネムリンボウさんにも感じたけれど、冬眠や冬ごもりって凄いシステムだなあ。今作ではティリーに訪れたサプライズだけでなく、気難しがりやの公爵に降ってきたそれも、お約束ではあるけれど素直に嬉しい。良い時期に読めた。
読了日:12月26日 著者:ケイリー・ジョージ

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